【街】東京ぶらり散歩#9_3 海の日▶体育の日 横浜まで徹夜散歩(後編)神奈川~横浜

2021/07/24

街紹介 東京ぶらり散歩

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(中編)鈴ヶ森~生麦 からの続き →

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※ COVID-19感染予防のため、「密」を避けて取材活動をしています。

02:36 子安

いちど国道15号に復帰したあと、子安では旧海岸線の「浜通り」に出ます。

時が止まったような、漁村の風景が広がります。

浦島伝説が伝わる土地だということで、町名も「浦島町」。

気づけば、日本橋から28 kmもの距離を稼いでいました。

このあたりで国道を横断して、旧東海道・神奈川宿方面に向かいます。

道沿いに、松並木が植わっています。旧街道の面影を残す光景です。

神奈川宿の高札場が復元されています。
法令を掲示して、民衆に告知するための施設でした。

ところで、「神奈川県 横浜市 神奈川区」という不思議な入れ子構造になっているのはどういうわけでしょうか?

江戸時代、ここ神奈川宿が地域の中心地でありました。幕末の日米修好通商条約・日英修好通商条約でも、「神奈川」湊を開港することが約束されています。

しかし幕府は条約に反して、対岸の横浜村に開港場を設けました。街道に直結する神奈川があまりに重要であったので、ここに外国船がアクセスすることを拒否したのです。当時、横浜を含む周辺地域の行政を担当したのは「神奈川奉行」でした。新政府も「神奈川府」→「神奈川県」を置き、この県名が今も残っています。

そのあと明治時代を通じ、横浜港は貿易で発展する一方、神奈川宿は取り残されるようにして衰退していきました。明治22年(1889年)にはそれぞれ「横浜市」「神奈川町」が設置されましたが、明治34年(1901年)には神奈川町が横浜市に合併され、奇妙な入れ子構造の地名が誕生したというわけです。

上記のとおり、開国と横浜の街づくりは同時進行で実施されたわけです。
開国当初から居留地があったわけではないので、外国人ははじめ、周辺のお寺などを宿舎として利用しました。

写真の成仏寺には、ヘボン式ローマ字で有名なジェームス・ヘボンが滞在していました。彼は宣教師であると同時に医師でもあり、生麦事件の負傷者の治療にあたりました。

旧東海道沿いの旅は、ここでおしまいです。
ここからは滝の川沿いに南下し、いよいよ横浜に上陸していきます。

東の空が白んできました。
海の日の出を鑑賞するためには、あと1時間で横浜に出る必要があります。

途中、横浜市中央卸売市場を通過していきます。
夜明け前、横浜の食を支える市場は忙しそうに活動しています。

市場を見物している間も、空には赤みが差していきます。

橋を渡って、みなとみらい地区に上陸。

パシフィコ横浜の軒先を抜けていきます。

コスモワールドの観覧車が見えてきました。

ランドマークタワー。

コスモワールド。日の出まであと20分。

新港サーマルウォーク。円環形の立派な歩道橋です。

赤レンガ倉庫。明治~昭和にかけて、日本の貿易を支えました。

赤レンガ倉庫には昔、国鉄の「山下臨港線」が乗り入れていました。
古い鉄道橋が現在は、歩道として使われ続けています。

04:36、新宿を出て9時間30分後、「象の鼻パーク」に到着。

この場所こそ、嘉永7年(1854年)にペリーが上陸し、また安政6年(1859年)には最初の波止場が建設された、横浜港発祥の地です。「象の鼻」は、湾曲した波止場の形状に由来する愛称です。

昭和9年(1934年)には横浜税関の立派な建物が完成、「クイーンの塔」として親しまれてきました(神奈川県庁舎=キングの塔、開港記念横浜会館=ジャックの塔とあわせ、「横浜三塔」)。

04:58

近代日本の夜明けを告げたこの場所で、今日の日の出を見つめます。

泰平の眠りをさます上喜撰たった四盃で夜も寝られず

私は一晩、麦茶とさんぴん茶しか飲んでいませんが、あまりに景色が美しいので眠たくなる気配はまったくありません。



昭和5年(1930年)から30年にわたり太平洋を往復した、貨客船氷川丸がともに朝日を見つめます。

桜木町駅へ

無事、日の出を見届けましたので、あとは電車で東京に帰ろうと思います。
かつての鉄道線が転用された遊歩道を通って、桜木町駅に向かいます。

「横浜ワールドポーターズ」という大型商業施設の前に出ます。

今年4月、ワールドポーターズから桜木町駅まで、廃線跡の上にロープウェイが開通しました。

10時から動き出すということで、今回は5時間も待って乗ることはしませんが、ロープと支柱の立ち並ぶ光景自体が新鮮です。

昼間の景色はご覧のとおり、夜も↓

のような絶景が広がる場所ですから、これをロープウェイから眺めるのはさぞ素晴らしい体験であることでしょう。

1907年製の鉄橋と、2021年開業のロープウェイが仲良く共存しています。

ここに展示されているのは、昭和2年(1930年)進水の帆船「日本丸(初代)」。
50年あまりにわたって練習船として活躍し、約11,500名の実習生を育てたのだそうです。

今日はちょうど、年に12回の「帆を広げる日」(総帆展帆・そうはんてんぱん)にあたっていたようです。「パイレーツ・オブ・カリビアン」などではずいぶん簡単そうに船の帆を張っていますが、実際に日本丸の帆を広げるときは100人のボランティアが集結するということです。

やはり5時間後なので、私はパスして帰ります。

そうそう、昨日は「海の日」でしたが、海の日の正午には横浜港に停泊する船が一斉に汽笛を鳴らすことになっています。昨年の海の日、私はたまたま用事があって、横浜を訪れていました。

05:49、桜木町駅に到着。
旧・横浜停車場。
明治5年(1872年)、新橋-横浜間に開通した日本最初の鉄道は、ここ桜木町を終点としていました。
(始点の新橋停車場については、ディズニーランドに行く途中で立ち寄り紹介しています。)

車窓から貝塚を発見したエドワード・モースに思いを馳せながら、早朝の空いた電車に乗って東京に戻ります。

各地点通過時刻

  • 19:07 JR新宿駅
  • 19:50 新国立競技場
  • 20:10 青山霊園横
  • 20:56 綱町三井倶楽部
  • 21:27 高輪大木戸跡
  • 21:46 JR品川駅
  • 22:52 鈴ヶ森刑場跡
  • 23:46 JR・東急蒲田駅
  • 00:25 六郷橋
  • 00:50 旧川崎宿
  • 01:12 八丁畷
  • 01:24 市場村一里塚跡
  • 01:37 鶴見川橋
  • 01:50 JR鶴見駅
  • 02:05 JR国道駅
  • 02:18 生麦事件発生現場
  • 02:33 生麦事件碑
  • 03:00 海岸通り
  • 03:30 旧神奈川宿
  • 03:55 横浜市中央卸売市場本場
  • 04:15 パシフィコ横浜
  • 04:22 よこはまコスモワールド
  • 04:31 横浜赤レンガ倉庫
  • 04:40 象の鼻パーク
  • 05:00 大さん橋
  • 05:30 横浜ワールドポーターズ
  • 05:49 JR桜木町駅
計、10時間42分

撮影情報

当日撮影した写真はすべて、FUJIFILM X100Vによる
(手ブレ補正のないカメラでも、結構どうにかなるものですね)

高70回 橋本

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